透明ガラスと型ガラスを効果的に使って家を快適にする方法
家づくりを始められたばかりの方は「透明ガラス」と「型ガラス」と言われてもピンと来ない方もいらっしゃるかも知れませんが、この「透明ガラス」と「型ガラス」というのを意識してみるのと意識しないのでは家の質はかなり違ってきます。
例えば「外から家の中がよく見えてしまって困ってしまう」といった後悔から「視線が空に抜けて家が広く見える」といった窓をより活かした使い方まで、ガラスを「透明ガラス」にするか「型ガラス」にするかでかなり変わってくるんですね。
そこで今回は、「透明ガラス」と「型ガラス」の特徴と使い方について見ていきたいと思います。
窓が気になる方はぜひご覧ください。
透明ガラスと型ガラス
家の窓を決める時、窓の種類だけでなくガラスの種類も決めることになります。
窓1つ1つ「透明ガラス」にするか「型ガラス」にするかを選ぶことになるんですね。
それではまず、透明ガラスと型ガラスはどういう物かを見てみましょう。
透明ガラスはその名の通り透明のガラスで外がよく見えるガラスのことを、型ガラスとはガラスの表面が凸凹していて外側が見えにくくなっているガラスのことを言います。
(よく間違いやすいですが、厳密には型ガラスとスリガラスは別の物で、窓には型ガラスを使うのが一般的です)
型ガラスとはこのようなガラスですね。
Photo:http://faq.ykkap.co.jp/faq_detail.html?id=25&category=28
基本的には、外が見たい場所は透明ガラス、外から見られたくない窓は型ガラスというように使い分けることになります。
ではここで質問を1つ。
家を建てる時、透明ガラスと型ガラスのどちらの方が多く使うのでしょうか?
答えは型ガラスです。
家の周りに何も無い場所をのぞき、一般的な住宅地では型ガラスの使用する割合の方が高くなるんですね。
このような透明ガラスと型ガラスですが、実際にはどのように使い分ければ効果的なのでしょうか。
それではまず、透明ガラスを使うケースについて見てみましょう。
透明ガラス
透明ガラスを使うケースとしては、庭が見える窓は透明ガラスにすることがほとんどです。
家の中から庭が眺められるようにするという訳ですね。
実際、透明ガラスの効果は高く、視線が抜ける場所に透明ガラスを使うか型ガラスにするかで家の中の広がり方は大きく違ってきます。
その他に透明ガラスを使うのに効果的な場所として、外からの視線を外したり目隠しをした場所が挙げられます。
視線が外れていれば、透明ガラスにしても周りを気にする必要はないですよね。
例えば、坪庭を作った場合も坪庭が見えるように透明ガラスにしますが、外からも丸み見えの坪庭というのは落ち着かないので目隠しを作って外からは見えないようにします。
このように透明ガラスを効果的に使うには、外から中がどれだけ見えにくいようになっているかがポイントになってくるんですね。
その他の一例として、型ガラスが基本の水まわりでも透明ガラスを使うこともあります。
2階に水まわりがあったり、1階でも確実に視界が抜けるケースであれば高窓にして透明ガラスにすることもできるんですね。
換気を考慮して開けられる窓との連窓にしてもいいですし、透明ガラスの水まわりと言うのは1度使ってみると思ったよりも気持ち良い物です。
視界が外に抜けることで水回りが広く見える効果と、明るい水回りにすることができます。
このように敷地形状や周辺環境を考慮しながら透明ガラスを使うと、より開放感のある家にすることができるので、透明ガラスは「中が見える」という先入観だけでなく柔軟に使いこなしたいですね。
一方、透明ガラスの注意点を見てみると、道路など外から見える場所に透明ガラスを使うとカーテンやブラインドなど、家の中が丸見えにならないようにする必要が出てきます。
外からよく見えるのに透明ガラスを沢山使ってしまうと、カーテンを沢山付けなければいけなくなるのでカーテンの予算がふくれあがってしまうので注意が必要ですし、場合によってはカーテンを閉めっぱなしで開けることが無いなんてことも。
また、細長い窓はカーテンやブラインドを付けると見た目がかなりうるさくなってしまうので、外から見える恐れがあるなら透明ガラスは避けておく方が使いやすいと言えます。
その他に透明ガラスを使った意外とよく見かける失敗として、塀等をつくって夜もカーテンを閉めずに外を眺められるプライベートな庭やスペースを造ったとしても、透明ガラスのすぐ側に照明があると窓ガラスに照明が反射して外がほとんど見えないなんていう残念なケースをよく見かけます。
透明ガラスを使うときはガラスに照明が映り込まないようにするのが基本となるので、照明計画もしっかり見ておきたいですね。
型ガラス
透明ガラスの次は型ガラスについて見てみましょう。
型ガラスを使うケースとしては、基本的に丸見えだと困る場所やすぐ近くにお隣の窓がある場合は型ガラスを使うことになります。
水まわりや景色を期待しない窓は型ガラスにするというのが基本的な使い方になるんですね。
また、お隣さんの窓のすぐ側に透明ガラスを付けてしまうとお隣さんへの影響も出てしまうので、型ガラスにしておくのが基本となります。
このように型ガラスを使うことで、透明ガラスに比べて家の中が格段に見えにくくなるので、型ガラスはプライバシーを重視する時に重宝するガラスと言えます。
では、型ガラスのデメリットとは何でしょうか?
型ガラスのデメリットを見てみると、型ガラスを多く使った家は狭く見えてしまうということが挙げられます。
外から家の中が見えにくい反面、家の中の視線も外に抜けないので、家の中が狭く見えてしまうんですね。
(私も一度、お施主さんの希望で全ての窓を型ガラスにしたことがありますが、広く見える間取りにした割に型ガラスで視界の抜けがカットされてしてしまい、型ガラスを多用しすぎるのは考えものだというのを感じたことがあります)
また、型ガラスだからと言っても外から全く見えない訳ではなく、夜に部屋の明かりを付けると型ガラスにシルエットが浮かんでしまうこともあります。
特に水まわりは型ガラスにしたから安心と思っていても、実は明かりを付けたらシルエットは外から見えていたなんてこともあるんですね。
このようなことを避けるために、1度住宅会社のショールームで夜に型ガラス越しに家の中がどのように見えるか確認しておくのも効果的ですし、気になる場合は窓のサイズを調整したり窓の位置を変える等あらかじめ調整しておけると一番いいですね。
型ガラスだからプライバシーが万全という訳ではなく、近隣環境に合わせた窓の配置が必要になります。
余談 その他のガラス
今回出てきた「型ガラス」と「透明ガラス」以外に窓によく使うガラスとして、「防犯ガラス」と「網入りガラス」と言う物があります。
防犯ガラスと言うのは窓が割れてもガラスが飛び散りにくい作りになっているガラスのことです。
防犯ガラスの中には特殊な防犯膜が強力に接着しているのでガラスが飛散しにくいんですね。
そのためシャッターがつけられない窓の防犯対策として防犯ガラスがよく使われます。
→家の防犯はどうすればいい?7つのオススメ防犯対策
防犯ガラスは1階や2階の侵入しやすい窓に付けるのが一般的で、窓それぞれに防犯ガラスにするかどうかを選ぶこともできます。
人が入れないような小さな窓は防犯ガラスにする必要はありませんが、人が入りやすい大きな窓なんかは防犯ガラスにしておきたいですね。
では次に、網入りガラスについて見てみましょう。
網入りガラスとはこのようなガラスのことを言います。
マンションやオフィスビルでも使っていることがあるので、見たことがあると言う方も多いのではないでしょうか。
網入りガラスと言うのは準防火地域など防火の規定がある地域で使用する物で、ガラスの中が編み目のように見えるのが特徴です。
→準防火地域で家を建てるなら絶対知っておきたいこと
準防火地域は駅の近くであったり、区画整理でできた街に指定されることが多く、窓から見る景色を重要視したい場合は網入りガラスの網目を邪魔に感じることもあるので注意してくださいね。
(裏技として、少し高価ですが網目なしの準防火地域用のガラスというのもあります)
まとめ
今回は型ガラスと透明ガラスについてご紹介しました。
型ガラスと透明ガラスでは同じガラスでも役割は全く違うもの。
住宅地では基本は型ガラスにして、視線の抜けをつくる時や外を眺める場所に透明ガラスを使うのが基本的な選び方となります。
その一方で、家の中から外がどのように見えるというのは気になりやすいものですが、家の外から家の中がどのように見えるかというのは意外と見落としやすいポイントです。
特に夜、家の中が明るくなると思ったよりも外から見えてしまうことがあるので注意しておきたいですね。
以上のことを踏まえながら、上手くガラスを選んでメリハリの効いた家にしたいですね。
では。