子供・赤ちゃんをガラスから守る

窓ガラスは明るい光を届けてくれる、なくてはならない家の一部です。
反面、ガラスが原因で子どもがケガをしたり、アレルギーなどの症状を引き起こすことも。
子どもが安全に成長していくためには、どんな硝子の選び方を意識すれば良いのでしょうか。

ガラス窓で起こる子どもの事故はどんなことがあるの?

窓ガラスはなくてはならない家のパーツですが、子どもの場合は特に思っても見ない事故が起こる場合があります。

透明過ぎてガラスが開いていると思って突っ込む

大きくて透明なガラス窓は、明るい日差しが降り注ぎ開放感があってとても快適です。
反面、あまりにも透明できれいすぎると、ガラスがあるのか分からないほどです。
大人なら注意して行動できても、子どもはガラスがあることに気が付かずに衝突する可能性があります。
安全な加工が施されていない一枚ガラス(フロートガラス)では、割れたガラスの破片が刺さって大けがをするリスクも。
また割れにくいガラスに全力疾走でぶつかれば、ガラスが割れないので衝撃がもろに体に伝わる場合も考えられます。

危険!おもちゃをぶつけて割ってしまう

子どもはまだ言い聞かせても危険性が分からずに、おもちゃを投げてガラスを割ってしまう心配があります。
割れにくいガラスを使用したり、飛散しにくいガラスをにすることで怪我のリスクを減らせます。

危険!兄弟で暴れてぶつかる

遊んでいて間違ってぶつかって、割れてしまうことも考えられます。
普段から言い聞かせても、遊びに熱中して気が付かないことも。
特に家の内部にある間仕切りなどのすりガラスはもろいため、ちょっとぶつかっただけでも割れてしまうリスクがあります。

割れて破片が散乱する

何らかの理由でガラスを割ってしまい床に破片が散乱すると、とても危険を伴います。
子どもはママやパパに怒られたらどうしようという気持ちが先に立ってしまう場合も多いです。
親が見てなければ隠そうとして、落ちたガラスの破片を触ってしまう可能性もあるでしょう。
普段から硝子の危険性を言い聞かせておくことも必要ですが、飛散しにくいガラスを選ぶことが大切です。

ドアやサッシにも注意が必要

硝子はもちろん、ドアやサッシで怪我をするリスクもあります。
ドアやサッシに指を挟んだりしないように、安全ガードを付けるなどの対策が必要です。

台風や震災で割れたガラスで怪我

突発的な突風や震災などでガラスが割れて、近くにいた子供が大けがをするリスクがあります。
また外に避難する際に、靴が無ければ飛散したガラスで足を切って動けなくなる可能性も考えられるでしょう。
飛散しにくいガラスにすることで、怪我をするリスクを最小限にできます。

子どもはどんな行動をしたら危険だと理解できなかったり、ガラスの危険性を本当の意味では理解できていない場合もあります。
ぶつかってガラスが割れて破片が散乱したり、体に刺さる危険を回避する必要があります。

硝子の破損事故を防ぐお勧めのガラスの選び方

それぞれのガラスの特徴やメリット、デメリットをご紹介します。

強化ガラスのメリットやデメリット

一枚ガラスに特殊な加工をしてあるのが、強化ガラスです。
ガラステーブルや割れにくいコップなどにも使われているので、よく知られた存在ではないでしょうか。
作り方はもっともポピュラーで、割れやすいフロートガラスを約700度まで加熱します。
ガラス表面に空気を吹き付けて、均一に急速に冷やすことで圧縮層を作ります。
すると同じ厚さのフロートガラスよりも、3~5倍の強度のガラスになります。
強化ガラスのメリットは、割れにくく万が一割れた場合も破片が粒状になります。
加工をしていないフロートガラスは、割れた場合は鋭利になって突き刺さった場合、大けがをすることがあります。
強化ガラスにすることで、万が一割れても破片で大けがをしないのが大きなメリットでしょう。
デメリットは鋭利なものに弱く、厚み1/6以上に欠けが起こると全体的に粉々になることです。
勘違いしやすいのですが防犯ガラスとは違って、ハンマーや尖ったもので叩けば粉々に割れてしまいます。
強化ガラスと言うと、イメージ的に防犯ガラスとしても使えそうなイメージがあるかも知れません。
でも小さい点に対して硬いものがぶつかると、思うより簡単に全面が粉々に割れるのがマイナス要素です。
つまり子どもが体当たりをしても割れにくいですが、尖ったおもちゃなどをぶつけてしまうと割れてしまうことも考えられるのです。
フロートガラスよりは子供がいる家庭でも、安全性の高いガラスだと言えます。

合わせガラス(防犯ガラス)のメリットやデメリット

合わせガラスは、二枚のガラスの間の中間層に特殊な中間膜(樹脂フィルム)を張り付けたガラスを言います。
非常に粘着力の強い中間膜が、ガラスを割れにくくしています。
もしもガラスが割れても中間膜の接着力により、ガラスが落下せずに、くもの巣状にひび割れたような状態で残ります。
鋭利な破片が飛び散ることがないので、万が一子供が衝突して割れても大けがをするリスクが少ないです。
子供のいる家庭で安全性を高めたい場合には、おすすめの硝子でしょう。
デメリットは一枚ガラスなどに比べると、価格が高めです。
また中間膜が経年劣化することで、耐久性が弱くなる場合が考えられます。
割れにくさの他に紫外線カットや防音効果など、生活における色んなマイナス要素を解消できます。

網入りガラスのメリットやデメリット

網入りガラスは金属製の網が封入されていて、火災時に落下したガラスの飛散を防止します。
また火の厚さで割れにくいので、燃え広がりを抑える効果も期待できるガラスです。
メリットとしては、もしも子どもがぶつかった場合も、ガラスが飛散したり落下することが少ないので大けがをするリスクが低いです。
デメリットは見た目に格子状の金網が入っているので、美観を損ねると感じる場合もあるでしょう。
網入りガラスの一枚ガラスは、ハンマーなどで叩いた場合には、飛び散らないものの、くもの巣状にすぐに割れてしまいます。
開口部ができやすいので防犯性は無いですし、フロートガラスと同様に結露もしやすいです。
また温度差や劣化に弱く、他の種類のガラスよりもサッシの方から割れが生じやすいのもデメリットです。
火災や震災などを考えれば安全性が高いですが、経年劣化や熱割れなどでヒビが入りやすく、定期的に取り換えが必要になることも。

複層ガラスのメリットやデメリット

複層ガラスはガラスとガラスの間に中間層があるタイプです。
本来は断熱性を高めて、冷暖房などの光熱費を抑えることができるエコなガラスです。
中間層は乾燥空気入りやアルゴンガス、真空などのタイプがあります。
フロートガラス二枚の中間に乾燥空気が入った複層ガラスは、割れやすくガラスが飛散しやすいです。
複層ガラスのメリットは、必要に応じてガラスの材質をセレクトできる点です。
一枚を合わせガラスにすることで、割れにくく飛散しにくくなります。
複層ガラスのデメリットは厚みによって、リフォームの際に元々使っていたサッシに入らないこともあります。
アタッチメントを使ったりサッシを取り替えることで解決しますが、価格が割高になることもあります。
ただしリフォーム助成金を使いやすいので、申請が可能な時期に上手くリフォームすればコストカットも可能です。
新築では複層ガラスが増えていますので、リフォームする場合にもぜひ検討したい種類です。

このようにガラスによって、かなり特徴が異なります。
子どもがぶつかって割れにくいのは、単体の合わせガラスや合わせガラスを使った複層ガラスなどです。
新築される住居には、断熱性やエコを考えた複層ガラスが使われるのが一般的です。
ですからリフォームでも最も良いものをと考えれば、合わせガラスを使った複層ガラスが最もおススメです。

透明なガラスが危険な場合はどんな対策が有効?

いつもガラスをピカピカにするのは、とても気持ちの良いことですね。
でも小さい子供がいる場合は、ガラスがないと錯覚して衝突し、大けがをするリスクも考えられます。
子供のガラスへの衝突を防ぐのにはどんな方法があるでしょうか。

ガラスの前に家具を設置して突進させない

広々した部屋に大きなガラス窓があって、庭や外の景色が見えるのはとても素敵です。
でも子供が突進して、思わぬ怪我をすることがあります。
まだ小さいうちは大きな掃き出し窓の前にソファーや戸棚を置けば、窓ガラスへ直進して突撃することを防げます。
二階や三階に出窓がある場合には、子どもがいたずらをして万が一、突き破って落下しないような配慮が必要です。
子供が開けられないような二重鍵を設置したり、窓に観葉植物を置くなどして開けられないように工夫しましょう。

曇りガラスにする

ガラスがあると分かれば衝突を防げる場合は、曇りガラスにすることでガラスがあると、ひと目で分かります。
ただし一枚ガラスのすりガラスは、割れやすく破片が飛散しますので子供のいるご家庭では不向きです。
複層ガラスやペアガラスにもすりガラス調のタイプがあるので、怪我をしにくいタイプを選びましょう。
ガラスではない、ポリカーボネートの内窓を付けるなどの対策も考えられます。

ガラスフィルム(ガラスシート)を貼る

子供が小さいうちだけ柄付きなどのガラスフィルムを貼って、ガラスがあることを分かりやすくしましょう。
ガラスフィルムをフロートガラスに貼れば、万が一割れてしまった時の飛散防止にもなります。
デメリットとしては耐久性が無くて定期的に張り替えが必要になる、ランニングコストがかかります。
また網入りガラスなどにガラスフィルムを貼ることで、本来のガラスの性能を損なうケースもあります。

すりガラスは子どものいる家庭では危険!?

すりガラスは別名曇りガラスなどとも呼ばれているガラスです。
似たようなガラスに型ガラスという、柄入りのガラスもあります。
最近では一枚ガラスのタイプは、外窓ではなく部屋と部屋の間のドアや窓など家の中に設置することも多いです。
適度な間仕切りに使えて、光を取り入れるのに最適です。
子供がいる家庭の場合、突進したり硝子に向かって逆立ちをしてみたり、大人が思っても見ないような危険な行動をすることも。
ぶつかって割れてしまう可能性があるので、一枚ガラスの割れやすいタイプではなく、ペアガラスや複層ガラスを取り入れましょう。

ポリカーボネートをすりガラスの代用にする!

ポリカーボネートは、熱可塑性プラスチックの一種で、耐久性が必要なスマホケースなどにも使われている素材です。
二重窓のDIYにもよく使われますが、ガラスではないので割れても大けがをするリスクがありません。
すりガラスやフロートガラスをポリカーボネートに替えることで、子どもの安全を守ることもできます。
廊下と部屋の間の扉や部屋と部屋の間にある窓などに使うと、割れやすいすりガラスより安心です。
外窓の内側にDIYでポリカーボネートの内窓を取り付けると、断熱性がアップしたり、子どもがぶつかって怪我をするリスクも減らすことができます。
型ガラス風のデザインのタイプもあって、アンティークや北欧調などのインテリア・デザインを楽しむことにも使えて一石二鳥です。

ガラスは美観にも関わるパーツですが、子どもが小さいうちは安全を最優先に考えましょう。
割れにくい素材を使ったり、割れても飛散しないガラスを使うことで、大けがのリスクを最小限にできます。

結露はカビやアトピーの原因にも!?

怪我の危険性の他に、子供の健康面で気を配りたいことにはどんなことがあるでしょうか。
ガラス窓で気を付けたいことは、結露を放置するとカビやダニの原因になることです。
カビは高温多湿の環境で発生しやすくなりますが、ダニもカビと同じような環境で繁殖しやすくなります。
梅雨時は特にカビをエサにして増えるダニや害虫に注意が必要です。
特に一枚ガラスなど結露しやすいガラスでは、大きなリスクを背負うことにも。

害虫が発生しにくい環境づくり

子供にカビを含んだ空気を吸わせたり、ダニの悪影響を受けさせたくありませんよね。
結露が発生する状態の場合、どのような対策を施せば良いのでしょうか。

掃除をマメにする

カビやダニの温床になるほこりをためないように、こまめにお掃除をしましょう。
物が多いと掃除も大変ですから、なるべく余計なものを置かない部屋作りが基本になります。
布団を干すだけではダニを排除するのは難しいので、専用掃除機を使うとより効果的です。

結露をこまめに拭きとる

結露しやすいサッシやガラス窓は、こまめに水滴を拭き取る対策が有効です。
窓ふき用のワイパーや古新聞、古くなったタオルなどで結露を取りましょう。
合成界面活性剤の効果により、食器用洗剤で拭くと結露しにくくなります。

除湿器を使う

湿度をコントロールすれば、結露しにくくなります。
湿度が高い状態でガラスと室内の温度差があれば、結露を起こしやすくなります。
氷を入れたコップに水滴が付くのと同じような原理です。
窓際だけが寒くなったり、湿度が高くならないように注意しましょう。

換気を行う

天気の良い日には、窓を開放してこまめに空気の入れ替えをしましょう。
特に湿気の溜まりやすい押し入れやクローゼットなども、開け放して湿気を取り除くことが大切。

結露しにくい窓ガラスやサッシにリフォームする

最も有効な対策としてお勧めなのが、窓ガラスやサッシを結露しにくいタイプにリフォームすることです。
子供の体に有害なカビやダニの繁殖を防ぎながら快適性もアップできます。

育ち盛りの子供にとって、住環境はとても大切な要素です。
安全で健康な住まいを考える上で窓ガラスの質は見逃すことができません。

断熱性が高いと風邪を引きにくい!?

最近の新築ではほとんど複層ガラス(ペアガラス)が使われていて、年々普及率がアップしています。
断熱性が高いので冷暖房が効きやすく、部屋内の温度差が少ないのが特徴です。
冬にはハイパワーで使っていたエアコンやファンヒーターの出力を弱めることができます。
暖房器具をハイパワーで使うと、電気代がアップするだけではありません。
空気汚染や乾燥などで喉が痛くなり、風邪を引きやすくなることも。
窓ガラスをリフォームすると、なんとなく窓際が寒々しくてスースーしていたのが解消して、家族の体調が改善することも考えられます。
寒暖差が少なく自律神経が整いやすく、体が寒暖差疲労を起こしにくいメリットがあります。
冬になると何となく毎日調子が悪い人も一年中快適に過ごせるケースも多いです。
複層ガラスは一枚ガラスと比べて結露を起こしにくいので、カビを吸いこむリスクも減ります。
子供を安心して育てる環境には、複層ガラス(ペアガラス)が欠かせません。

子供がいる家庭では、ガラスにぶつかって大怪我をするリスクを少なくすることが大切です。
また火災や、震災時の避難時に怪我や大やけどをしにくいタイプを選ぶことも重要。
カビやダニを発生させない結露防止対策の施された複層ガラス(ペアガラス)に、割れにくい合わせガラスをプラスしたタイプが最も理想的です。

 

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